わいせつ裁判の有名事件6選|チャタレイから愛のコリーダまで、何が有罪で何が無罪だったか
公開日: 2026-11-05
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わいせつ裁判の争点は、ずっと「芸術ならOKか」でした。最高裁の答えは、芸術でもわいせつになり得る、です。 有名な6件を並べると、わいせつの側で終わったのが3件、無罪が1件、処分の取消しが1件、結論が割れたのが1件。 無罪は少ない。ただ、裁判所が見る材料は少しずつ増えました。
わたしは法律の専門家ではなく、元家電販売員。判決と報道を読んで比較表にしました。
6件を1枚の表にすると
| 年 | 何が問われたか | 結論 | 争点 |
|---|---|---|---|
| 1957年 | 翻訳小説『チャタレイ夫人の恋人』 | 有罪確定 | わいせつとは何か(3要素) |
| 1969年 | 翻訳小説『悪徳の栄え』 | 有罪確定(一審は無罪) | 芸術性は性的な刺激を弱めるか |
| 1980年 | 雑誌に載った『四畳半襖の下張』 | わいせつ文書と認定 | どんな材料を総合して見るか |
| 1982年 | 書籍『愛のコリーダ』 | 無罪(一審・二審とも) | 本はわいせつか、175条は憲法違反か |
| 2008年 | メイプルソープの写真集 | 税関の処分を取消し | 問題の写真が全体に占める比重 |
| 2020年 | 女性器の3Dデータの配布 | 罰金40万円が確定(展示した造形物は無罪) | データにも芸術の主張は通るか |
年は1982年だけ高裁判決、ほかは最高裁判決です。
チャタレイ事件は何を決めたのか
D・H・ローレンスの小説を翻訳した作家の伊藤整と、版元の小山書店の社長が刑法175条で問われました。1957年3月13日、最高裁大法廷が上告を棄却し、有罪が確定します。
今も名前が残るのは、わいせつの3要素を示したからです。「徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」。本のほうは1964年に該当部分を削って出版され、1973年に完訳が講談社文庫で刊行されています。
悪徳の栄え事件、一審の無罪がひっくり返る
サド作品の翻訳者・澁澤龍彦と出版社の社長が起訴された事件です。流れは一審無罪、二審有罪(社長に罰金10万円、澁澤に7万円)。1969年10月15日、最高裁大法廷が上告を棄却しました。
ここで示されたのは、芸術性や思想性が性的な刺激を弱めて、処罰の対象に届かないところまで下げることはあり得る、という考え方。ただし、そこまで消えなければ、わいせつ文書の扱いは免れません。5人の裁判官が反対意見を書いています。「芸術ならOK」ではなく「芸術が効く場合もある」。
四畳半襖の下張事件で、見る項目が増えた
永井荷風の作と伝えられる春本が、1972年に雑誌『面白半分』に載って摘発されました。1980年11月28日、最高裁第二小法廷は上告を棄却し、わいせつ文書と認めています。
重要なのは結論より、見方です。描写の露骨さと詳細さ、文書全体に占める比重、思想との関連、構成や展開、芸術性や思想性。こうした点を「総合」して見るとしました。カタログの数字1つで決めず、項目を並べて判定する。売り場の人間にはよく分かる考え方です。
愛のコリーダ裁判で争われたのは、映画ではなく本
大島渚監督の映画の脚本と宣伝用の写真などを載せた同じ題名の書籍(三一書房)が問題とされ、監督と出版社の社長が起訴されました。裁判になったのは本のほう。
被告側は175条そのものが憲法違反だと主張しましたが、そこは認められていません。判決は従来の判例の枠組みを保ったまま、書籍はわいせつに当たらないとして、一審も二審も無罪。高裁判決は昭和57年(1982年)6月8日でした。この種の裁判で無罪は珍しく、6件の中で、丸ごと無罪で終わったのはこれだけです。
メイプルソープ写真集事件は、刑事裁判ではない
罪を問う裁判ではなく、行政訴訟です。1999年、成田空港の税関が、写真集に載った260点の写真のうち20点を問題視して持ち込みを認めませんでした。東京高裁(2003年)はわいせつ性ありとしましたが、最高裁第三小法廷が2008年2月19日に破棄し、処分の取消しを命じています。
理由は、芸術的な観点から編集された写真集であること、性器の描写が全体に占める比重が相当低いこと、白黒写真で性交等を直接表現していないことなど。四畳半の判決に出てきた「全体に占める比重」が、ここでも理由の1つに入っています。
もっとも、最高裁は1999年の別の訴訟で、同じ写真家の写真を載せた別の本をわいせつと判断しています。2008年の判決にも反対意見が付きました。作家の名前で決まるわけでも、白黒なら大丈夫という話でもありません。
コヨイチが記録している写真集は15,222点。写真集の壁で一覧できます。
3Dデータ事件、同じ裁判の中で結論が分かれた
女性アーティストが女性器の3Dデータを配布した件です。東京高裁までの判断は、展示した造形物は芸術性などを認めてわいせつに当たらず無罪、データの配布は有罪(罰金)でした。
2020年7月16日、最高裁第一小法廷は上告を棄却し、罰金40万円が確定します。「芸術活動の一部」という主張は退けられました。一方で、判断の中で芸術性や思想性による緩和の有無と程度は検討するとしています。芸術性を見ること自体は続いている。ただ、その結論は有罪でした。
番外: AI美女ポスター事件という新しい論点
6件には数えない、新しい話です。2025年4月、無料の生成AIソフトで実在しない女性のわいせつ画像を作り、ポスターにしてネットオークションで売ったとして、警視庁が20〜50代の男女4人をわいせつ図画頒布の疑いで逮捕しました。生成AIで作ったわいせつ物の販売の摘発は全国初と報じられています。出品時は修正付きの見本で、発送は無修正だったとのこと。
逮捕は容疑の段階で、裁判の結果をわたしは確認できていません。
コヨイチの記録では、FANZAの「AI生成」タグが付いた作品は写真集3,980点、漫画950点、動画220本、素人188本。AI作品そのものは売り場に並んでいます。この事件で焦点になったのは、無修正の販売でした。だから修正さえあれば問題ない、という話でもありません。AI作品の数の話はFANZAスタジオとは?に、修正の法律の話はAVのモザイクはなぜ必要?にまとめてあります。出演者を守る側の法律はAV新法の4ヶ月ルールとは?へ。
コヨイチの記録に残る「四畳半」
FANZA動画の題名に「四畳半」を含む作品は、コヨイチの記録で46本。裁判と同じ題名の配信作もあり、ルビーの【AIリマスター】四畳半襖の下張りが2026年5月8日に配信されています。ただ、公式あらすじによれば「四畳半の小さな娼妓茶屋」の3部構成で、雑誌に載った文章とは別物の映像作品です。
逆に、題名に「チャタレ」「愛のコリーダ」「悪徳の栄え」「メイプルソープ」を含む作品はゼロでした。
昔の作品が今も売られている例として、同じルビーのAIリマスターを1本置いておきます。
この6件から、ここまでなら大丈夫という線は読み取れません。どの事件も、その物の全体を見て判断されています。買うなら正規の配信ストアで。わたしに言えるのはそれだけです。
続きはここで
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- 今日のセール — 今日の値下がり
出典
- Wikipedia「チャタレー事件」
- Wikipedia「悪徳の栄え事件」
- Wikipedia「四畳半襖の下張」
- Wikipedia「愛のコリーダ」
- わいせつ裁判に関する資料(PDF)
- 裁判所「昭和54(あ)998」
- 裁判所「平成15(行ツ)157」
- 裁判所「平成29(あ)829」
- AFP
- CNN
- Anime News Network
- 東スポ
- 東京ニュースメディア
※判決と報道の整理で、法的な助言ではありません。数字はコヨイチの記録(2026年11月5日時点)です。

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