クリスマスにエッチしなきゃ、のプレッシャーが重い|女性の本音と、イブの前に置いておく一言

公開日: 2026-11-08

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クリスマスの夜に「エッチしなきゃ」が重いのは、変なことじゃない。重いのはたぶん行為そのものではなくて、日付のほうが先に「今夜はそういう夜です」と決めてくること。だから、イブより少し前に一言だけ置いておけばいい。そうすれば、当日はただの寒い冬の夜に戻ってくれる。

イルミネーションの下で聞いた本音

十一月のはじめ、駅前の並木にイルミネーションが灯った夜、友人と二人でベンチに座っていた。点灯の瞬間に小さな拍手が起きて、わたしもつられて手を叩いた。紙コップのココアは、もうぬるかった。

青白い光を見上げながら、友人がぽつりと言った。「これが点くと、ちょっと憂うつになるんだよね」。

恋人のことは好きだという。一緒にいるのも楽しい。ただ、クリスマスが近づくと、夜のことを「する前提」で数えられている気がして、息が浅くなる。ケーキの予約より先に、そっちの心配をしてしまう自分が嫌になる、と。

わたしは何も言えずに、ぬるいココアを飲み干した。光の下で聞くには、少しまっすぐすぎる話だった。

「その日はそういう日」という空気

誰かが決めたわけじゃない。カレンダーにも「この日はエッチする日」とは書いていない。それなのに、街も、広告も、なんとなくそういう顔をしている。

厄介なのは、その空気が二人のどちらのものでもないことだ。相手が本当に期待しているのかもわからない。自分がしたいのかどうかも、空気に混ざってよく見えなくなる。誰も言っていないのに、誰かに言われた気がする。それが、しんどさの半分くらいを占めている気がする。

重さの正体

友人の話を聞いたあと、家に帰ってノートに書き出してみた。重さには、だいたい名前が付けられる。

重さの正体 先に言っておく一言の例 言われた側の受け取り方のメモ
日付が決めてくる 「イブだからって、無理にそういう夜にしなくていいよね」 自分への拒否ではなく、日付から降りたいだけ
相手の期待が読めない 「24日の夜、どう過ごしたい?」 答えを急かさず、自分の希望もひとつ添える
準備の負担が片方に寄る 「その日のこと、二人で決めない?」 段取りを分けるだけで、気持ちが軽くなることもある
疲れているのに断りにくい 「仕事のあとだし、眠かったら寝ちゃうかも」 先に聞いておけば、当日がっかりしなくて済む
「したい」が言い出せない 「実はちょっと楽しみにしてる」 うれしい、で返していい。返事は相手のペースで

書いてみると、重いのはどれも「当日その場で決めなきゃいけないこと」だった。前もって言葉にしておくだけで、ほとんどが軽くなる。

今年のイブは木曜日

2026年の12月24日は木曜日、25日は金曜日。イブは平日で、次の日も仕事という人がたぶん多い。

だったら、疲れている前提で計画していいと思う。定時で上がれるかもわからないし、帰りの電車は混んでいるし、ケーキの箱を傾けないように歩くだけでけっこう神経を使う。そんな夜に、映画みたいな展開を自分に課さなくていい。週末に回してもいいし、回さなくてもいい。

先に言っておく一言

「しない」も「したい」も、前もって言っておく。断るのも、誘うのも、同じくらい普通のことだ。

大事なのは、どちらも相手の返事を受け取る側に回れること。「今年はゆっくりしたいな」と言われたら、「そっか」で終える。理由を問いただしたり、なんとか気持ちを変えてもらおうとしたりしない。同意があって初めて成り立つことだから、断られたらそこで引く。それができる二人なら、次にまた誘いやすくなる。

言い方に迷ったら、いい夫婦の日に書いた、誘い方と断り方の話も近い。暮らしの順番を変えてみる話は同棲マンネリの夜に書いた。

しない夜の過ごし方もある

並んで何かを見る。手をつないだまま毛布にくるまる。いつもより一時間早く寝る。どれも立派なクリスマスの夜だと思う。

二人で何か見るなら、女性向けの作品一覧や落ち着いた気分の作品から、選ぶ時間ごと楽しむのもいい。決めるのも面倒な夜はおまかせに任せてしまえばいい。買い方が気になる人はカップル向けジャンルの一番安い買い方へ。

二人で何か新しいものに手を伸ばしたい、という気分の夜もあるだろう。その選び方はクリスマスにカップルで初めてのグッズにまとまっている。

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期待していた側へ

もし「楽しみにしていたのは自分だけだったのか」と少しがっかりしたなら、それも普通のことだ。期待するのは悪くない。ただ、その気持ちで相手を説得しようとはしないでほしい。「じゃあ、また今度ね」と笑える人のほうが、たぶん次のクリスマスも一緒にいる。

沙耶(このコラムを書いたライター)

さいごに

クリスマスの夜は、何かをしなければいけない夜じゃない。先に一言置いておけば、あとはただの冬の夜だ。寒い季節の人恋しさについてはこちらにも書いている。

あの夜、ベンチから立ち上がるとき、友人が「今年は先に言ってみる」と言った。何て言うの、と聞いたら、「イブは木曜だから、とりあえず寝る」。それは一言というより、ほぼ就寝予告だと思う。でも、イルミネーションを見上げる横顔は、さっきより少しだけ楽そうだった。

本コラムは脚色を含みます。

※記載の情報は2026年11月時点のものです。

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沙耶

沙耶読み物(エッセイ・コラム)

エッセイスト。夜にまつわる話を書く。商品の話はしない。

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