三連休最終日の夜、一人で動画を見る理由
公開日: 2026-10-11
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三連休の最終日の夜、明日の準備もそこそこに、一人で動画を見ている。逃げているつもりはない。三日かけて、やっと休みの体になったところなのだ。せっかくなじんだその体のまま、今夜を終えたい。それだけのことだと思う。
三日目の夕方に、やっと休みになる
一日目の土曜は、正直まだ休みではなかった。目覚ましをかけていないのに、平日と同じ時刻に目が開く。昼過ぎに洗濯機を回しながら、頭の片隅で金曜に返しそびれたメールの文面を考えている。夜には、会議室で資料が見つからない夢まで見た。体は家にいるのに、半分はまだ職場の椅子に座っていた。
二日目の日曜で、ようやくほどけてくる。昼まで寝て、パジャマのまま遅いお昼を食べる。ただ、そのゆるみには保険がついていた。「明日もまだ休みだし」。この一言があるから安心してだらけられる。言いかえれば、まだ休みを信じきれてはいなかった。
本当に休みの人になれたのは、三日目の夕方だ。フィルムカメラを首にかけて近所を一周して、喫茶店で少し長居をして、帰り道でふと気づく。肩に力が入っていない。曜日も時刻も、どうでもよくなっている。ああ、これが休みか、と思ったそのとき、西の空はもう暗かった。十月の日暮れは、こちらの事情を待ってくれない。
なじんだ頃に終わる。二連休にはない、三連休だけの時差だと思う。
月曜なのに、月曜じゃない
最終日が月曜だというのも、話をややこしくしている。今年のスポーツの日は10月12日、ハッピーマンデーで月曜日だ。カレンダーは赤いのに、街の顔は半分だけ平日をしている。
朝、ゴミ袋を手に玄関で一瞬止まった。月曜は燃えるゴミの日だったか、祝日は休みだったか。スーパーの開店時刻も、銀行の窓口も、テレビ番組の並びも、平日と休日がまだらに混ざっている。
いちばん困るのは頭の中だ。明日は火曜日なのに、わたしの体は「月曜の朝」を迎える準備をしている。週の始まりの重さを一日ずらして背負うことになるのに、計算が追いつかない。ふだんの月曜の夜とは、同じ曜日なのに中身がまるで別物だ。
並べてみると、こうなる。
| 二連休の日曜の夜 | 三連休最終日の夜 | |
|---|---|---|
| 体のほどけ具合 | ほどけかけたところ | ようやく全部ほどけた |
| 明日の曜日 | 月曜(いつもどおり) | 火曜(なのに気分は月曜) |
| 夜の重さ | 慣れた重さ | 久しぶりなので、少し重い |
| やりがちなこと | 早めに寝ようとする | 寝るのがもったいなくて目が冴える |
日曜の夜には、毎週の慣れがある。三連休の最後には、その慣れがない。三日ぶんの距離をあけてしまったぶん、平日のほうが少し遠くに見える。

正しい過ごし方は、知っている
連休最終日の夜の過ごし方なら、だいたい知っている。早めにお風呂に入る。明日の服を出しておく。三十分だけ仕事の準備をして、気持ちをならしておく。どれも正しいし、できた年は火曜の朝が少し軽かった気もする。
それでも動画を開いてしまうのは、休みの体を、平日の体に戻す作業を今夜のうちにやりたくないからだ。ほどくのに三日かかったものを、寝る前の一時間で結び直すのは、なんだかもったいない。結び直すのは明日の朝、電車の中でいい。
ただ、一本だけと決めると、今度はその一本を選ぶのに迷う。最後の夜くらい外したくない、と思うと余計に決まらない。見放題のしくみは、たぶんこういう夜に向いている。合わなければ閉じて次へ。一本目で外しても、それで夜が台無しになるわけではない、と思えるのは気が楽だ。
見たいものが最初から決まっている夜なら、今日のセールをのぞいて、その一本だけ買うのでも十分だと思う。選ぶこと自体に疲れてしまったら、おまかせに投げてしまう手もある。
日付が変わる前に、ひとつだけ
結局、明日の準備としてわたしがやったのは、ひとつだけだった。アラームを平日用に戻すこと。
三日ぶりに設定画面を開いたら、いつもの音が急に知らない人の声みたいに聞こえて、変えたくなった。試しに一つずつ鳴らしていたら、どれも月曜の朝の音に聞こえる。五分迷って、結局いつもの音に戻した。三連休で取り戻した休みの体は、アラームの選曲には一切役に立たないらしい。
まとめ
三連休の最終日の夜に一人で動画を見るのは、三日かけて取り戻した休みの体を、最後まで使い切ることだと思う。なじんだ頃に終わる時差も、月曜なのに月曜じゃないずれも、今夜だけのものだ。長くなった秋の夜については、秋の夜長の話にも書いた。
次の三連休は、11月21日から23日、勤労感謝の日。今度は一日目の土曜から休みの体になれるよう、金曜の夜にアラームを切っておくつもりだ。たぶん、平日と同じ時刻に目は開くけれど。
本コラムは脚色を含みます。
※記載の情報は2026年10月時点のものです。