お盆休み、予定ない一人の過ごし方を変えてみた話
公開日: 2026-07-21
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朝、テレビをつけたら「下り線は午前中がピーク」と言っていた。高速道路の渋滞を空から映した映像が流れて、車の列がずっと先まで続いている。今日からお盆休みなのだと、その映像で思い出した。
わたしは今年、実家に帰らないと決めていた。決めていたはずなのに、渋滞の列を見た瞬間、なぜか少しだけ胸のあたりが重くなった。
「実家がない」わけじゃなく、「今年は帰らないと決めた」だけなのに感じる後ろめたさ
実家がないわけではない。帰ろうと思えば帰れる距離に、帰ろうと思えば会える人たちがいる。それでも今年は帰らないと自分で決めた。仕事の都合もあったし、単純に、混み合う時期に無理をしてまで動きたくなかった。
理屈はちゃんとある。あるのに、テレビの渋滞映像を見ているだけで、なんとなく自分だけ列から外れてしまったような気持ちになる。誰かに責められたわけでもないのに、勝手に後ろめたい。この感覚の名前を、わたしはまだうまく持てずにいる。
冷静に考えれば、帰る帰らないは毎年選び直していいはずのことだ。去年帰ったから今年も帰らなければいけない理由はどこにもない。それでも世間が一斉に同じ方向を向く数日間は、選び直したことがやけに目立って見えてしまう。
世間が家族の話をしている数日間、一人で過ごすと輪郭がはっきりする自分の時間
お盆の数日間、街の空気が少し変わる。オフィス街から人が減り、代わりに家族連れがいつもより目につくようになる。スーパーのレジでは、帰省土産らしき紙袋を提げた人を何度も見かけた。
そういう景色の中を一人で歩いていると、自分の時間の輪郭がやけにはっきりしてくる。誰かに合わせる予定がない一日は、良くも悪くも自分だけのものだ。起きる時間も、食べるものも、出かけるかどうかも、全部自分で決めていい。ふだんは意識しない自由が、お盆のあいだだけ急に輪郭を持つ。
これは寂しさとも少し違う気がしている。寂しさというより、周りの音量が大きい数日間に、自分の音量だけがそのまま残っている感じに近い。周りが賑やかだから、自分の静けさがよく聞こえる。それだけのことなのかもしれない。

墓参りにも行かなかった日のこと
正直に書くと、今年は墓参りにも行かなかった。行くつもりがまったくなかったわけではなく、気づいたら行かないまま昼を過ぎていた、という方が近い。
その日は結局、家で洗濯をして、溜まっていた録画を消化して、夕方に近所のコンビニまで歩いただけだった。線香の匂いも、ひぐらしの声を聞きながら手を合わせる時間も、今年のわたしにはなかった。
行かなかったことに、罪悪感がまったくないと言えば嘘になる。ただ、罪悪感を抱えたまま何もしないでいる自分と、罪悪感を抱えながらも普通に一日を終えた自分は、たぶん同じくらい「今年のわたし」として成立している。行かなかった年があってもいい。来年行けばいい話だ、とだけ自分に言い聞かせた。
お盆を「行事」でなく「連休」として使い直すための小さな工夫
行事として捉えると、お盆は「やるべきこと」が多い休みになる。けれど、ただの連休として捉え直すと、案外自由に使える数日間でもある。時間帯ごとに小さくやることだけ決めておくと、後ろめたさに飲まれずに過ごしやすい。
| 時間帯 | 小さくやること |
|---|---|
| 朝 | 渋滞のニュースは見ても見なくてもいい。見た日は、自分の予定はまた別の話だと一度声に出してみる |
| 昼 | 混んでいない時間の街を歩く。普段行かない図書館やカフェを開拓してみる |
| 夕方 | 部屋を軽く片づける。帰省の代わりに、住んでいる場所を整える時間にする |
| 夜 | 誰かの家族写真を見ない時間を作る。配信でも読書でも、自分だけの静かな時間にあてる |
どれも特別なことではない。ただ、行事として過ごさなくてもいいと決めるだけで、お盆はただの連休に近づいていく気がしている。
よくある質問
お盆に実家へ帰らないのは薄情ですか? そうは思わない。帰るかどうかはその年ごとの事情で決めていいことで、帰らない選択そのものに良し悪しはないはずだ。
一人でお盆を過ごすのは寂しいことですか? 寂しいと感じる瞬間はあるかもしれない。ただ、それは周りが賑やかだから際立つだけで、一人の時間自体が悪いものだとは思わない。
来年は帰ったほうがいいですか? それは来年になってから考えればいいと思う。今年の過ごし方を、来年の義務にする必要はない。
まとめ
帰省ラッシュのニュースを見て後ろめたさを感じても、それは今年の選択が間違っているという意味ではないと思う。世間が同じ方向を向く数日間だからこそ、自分の時間の輪郭がはっきり見えることもある。墓参りに行かなかった年があってもいい。行事ではなく連休として使い直せば、お盆はもう少し軽く過ごせる気がしている。本コラムは脚色を含みます。
一人のお盆の過ごし方については読み物カテゴリの一覧にも近い温度の記事が増えていく予定です。何も決めたくない夜は日間ランキングから流れで眺めてみるのも一つの手ですし、推しランキングを眺めながら時間を使うのも悪くないと思う。ほかのジャンルの記事はコヨイチの記事一覧からどうぞ。わたしのことはライターページに少しだけ書いてあります。