夏休み、一人の過ごし方が虚しい日にしたこと
公開日: 2026-07-19
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夏休みの朝、目が覚めてすぐに気づいたことがある。今日が休みだということより先に、今日も予定がないということのほうが、体に重く乗ってきた。
カレンダーは白いままだった。誰かと約束した日もなければ、行くと決めた場所もない。ただ休みだけが、そこに置いてある。
こんな朝を、去年も迎えた気がする。
「虚しい」の中身は何なのか
一人でいることが虚しいわけではないと思う。実際、一人の時間はわりと好きなほうだ。問題はそこではなくて、SNSを開いたときに流れてくる誰かの旅行先や、家族連れの写真、友達同士のはしゃいだ声のほうにある気がしている。
自分の予定表と、他人の予定表を並べてしまう。それだけで、白紙は急に「何もない」から「取り残された」に変わる。虚しさの正体はたぶん、一人でいることそのものではなく、比較したときに生まれる差のほうだ。
これは甘えなのでは、と思う人もいるかもしれない。ただ、比較して落ち込むのは人間としてわりと普通の反応で、意志の弱さの問題というよりは、目に入る情報量の問題だとわたしは思っている。他人の充実した一日は流れてくるのに、他人の何もない一日はまず流れてこない。見えているものが最初から偏っている。
予定を埋めようとして疲れた話
去年の夏、これではいけないと思って、予定を詰め込んだことがある。
美術館に行き、前から気になっていたカフェに寄り、夕方には知人に連絡を取って軽く会う約束まで取り付けた。書き出せば、なかなか充実した一日に見える。実際、その日の写真だけを見返せば、誰かに「楽しそうだね」と言われても不思議はない。
けれど、家に帰って布団に入ったとき、驚くほど疲れていた。楽しかったはずなのに、どこか義務をこなしたような感覚が残っていた。虚しさを消すために予定を詰めたのに、虚しさの代わりに疲労が残っただけだった気がする。
埋めれば埋めるほど、「本当は好きで来たわけではない予定」が混ざっていく。カフェは好きだったけれど、知人との約束は、正直、自分から誘いたかったわけではない。予定表を埋めることそのものが目的になった瞬間、内容はどうでもよくなっていたのだと思う。
埋めるのをやめてみた日のこと
翌週、今度は何も予定を入れずに一日を過ごしてみた。
朝、いつもより少し遅く起きて、コーヒーを淹れた。豆を挽く音だけが部屋に響いて、あとは静かだった。窓の外では、セミの声が朝から本気で鳴いていた。

昼過ぎに近所を歩いた。行き先は決めていなかった。知らない路地に入り、知らない喫茶店を見つけて、そこで小一時間、本を読むでもなく、ぼんやり外を眺めていた。何をしたかと聞かれても、うまく説明できる出来事は一つもない。
それでも、その日の夜はよく眠れた。予定を詰めた日よりも、何もしなかった日のほうが、体の力が抜けていたのを覚えている。虚しさが消えたわけではない。ただ、虚しさを急いで埋めようとしなかっただけで、思っていたより穏やかに過ぎていった一日だった。
一人の夏休みを「そのまま」置いておくための小さな工夫
虚しさを消そうとしなくていい、というのがこの夏わたしがたどり着いた結論に近い。ただ、何もしないのと、ただ落ち込んでいるのとは別物なので、時間帯ごとに小さくやることだけ決めておくと、案外過ごしやすくなる。
| 時間帯 | 小さくやること |
|---|---|
| 朝 | いつもより丁寧にコーヒーやお茶を淹れる。それだけで一日の始まりが変わる |
| 昼 | 行き先を決めずに近所を歩く。知らない道を一本だけ選んでみる |
| 夕方 | 夕飯の支度に少し時間をかける。作る過程そのものを時間つぶしにする |
| 夜 | 予定のない夜として、テレビや配信を流しっぱなしにして眺める |
どれも大した工夫ではない。ただ、予定というより「儀式」に近いものを一つ用意しておくと、何もない一日が、空白ではなく自分だけの時間として残りやすくなる気がしている。
よくある質問
一人で夏休みを過ごすのは甘えですか? そうは思わない。誰と過ごすかは状況によって変わるもので、一人であること自体に良し悪しはないはずだ。虚しさを感じること自体も、甘えとは別の話だと思う。
虚しさは消えるものですか? 完全に消えるかどうかはわからない。ただ、消そうとするより、そのまま置いておくほうが、結果的に軽くなることはあるようだ。少なくともわたしはそう感じた。
来年も一人だったらどうすればいいですか? 来年のことは、来年になってから考えればいいと思う。今の虚しさを、来年の心配にまで広げなくてもいいはずだ。
まとめ
夏休みの予定が白紙のままでも、それは失敗でも欠落でもないと思う。虚しさの正体は比較から生まれることが多く、埋めようとするほど疲れが増すこともある。埋めるのをやめてみた日のほうが、案外よく眠れた。本コラムは脚色を含みます。
一人の夏の過ごし方については読み物カテゴリの一覧にも近い温度の記事が増えていく予定です。今夜は何も決めたくない、という日は日間ランキングから流れで眺めてみるのも一つの手ですし、推しランキングを眺めながら時間を使うのも悪くないと思う。ほかのジャンルの記事はコヨイチの記事一覧からどうぞ。わたしのことはライターページに少しだけ書いてあります。